25年の時を超えたDTMの遺産がAIで蘇る。「1000本ノック」がうむエキサイティングなEndless Tracks。
話は今から20年以上前、2000年ごろに遡る。当時はDTM(デスクトップミュージック)がより身近になり始めた時代。私は音楽雑誌を買うたびに、付録のCD-ROMに収録された「サンプル音源集」を必死に集めていた。
カチカチとマウスをクリックしながら、無機質な波形を組み合わせて新しいリズムを作る。それは、かつてのレコードを回すのとはまた違う、知的なパズルのような楽しみだった。当時の古いハードディスクには、音源を切り貼りして作った、楽曲ともつかないWAVデータが山ほど残っている。そういえば、当時組んでいたオヤジバンドのテーマソングまで作った記憶もある。
それから時が経ち、今から12〜13年ほど前のこと。 操作の練習も兼ねて、新しく手に入れた「Ableton Live 9」でトラックメイクに挑戦していた。当時はまだ操作もたどたどしく、雑誌の付録や買い集めたサンプル音源を並べてはエフェクトをかけ、ようやく2曲の「自信作」を作り上げた。
完成度は決して高いとは言えなかったが、新しい「楽器」と格闘した大切な記録だった。結局、世に出ることもなく、そのデータはハードディスクの片隅で静かに眠りについていた。2年ほど前にこの2曲は原型をリマスターしてコンピレーションアルバム『7080 HodgePodge Sounds』に収録している。(PekinpahとFleming)
今回のAIとのセッションでは、ノイジーで荒削りだった無秩序なトラックが、が「本当はこう鳴らしたかった」と意図していたであろうニュアンスをAIが汲み取り、音の厚みや広がりを補完してくれた。これは単なる「修復」ではない。過去の自分と現在のテクノロジーとの対話が生んだ、不思議な共同作業だった。
まずは、新しく生まれ変わったトラックを聴いてみてほしい。 ダブからボサノバ、ニューソウル、ジャングルビート、アンビエント、そしてサイケデリック・ロックまで。たった2曲のモチーフをあらゆるジャンルで表現し尽くしたノンストップ2曲70分の濃厚な時間が楽しめる。
ちなみにタイトルは、ジェームズ・ボンドの生みの親イアン・フレミングと、バイオレンス映画の巨匠サム・ペキンパーから拝借している。
では、Listen LOUD and DANCE with it‼️